死者を悼むモーニング(喪)・ジュエリー。ヨーロッパでは古くから作られてきたジュエリーです。

故人を悼んで作られたジュエリー。故人の髪が入れられております。故人の家族、大切な人に渡されました。それだけ、いろいろな人から愛された人、立派な方だったともいえます。

モーニング・ジュエリーは怖いもの?

いいえ、モーニングジュエリーは人の愛から生まれた守り神のような存在です。優れた人物だからこそモーニングジュエリ-が生まれ引き継がれるものであり、決して悪い存在のためのものではございません。

骨壺のデザイン。言葉だけ聞けば怖いと思われるかもしれませんが、これほど手の込んだ素晴らしいリング。エナメルとダイヤモンドを使用した見事なデザイン。きっと素晴らしい人物のためだったのだろうと思います。脇には故人の年齢や名前が刻まれるのが通例です。

Mourning Jewellery

モーニング・ジュエリーの歴史

遺言とモーニング・リング

16世紀から17世紀にかけて、故人の指輪そのものを友人や家族に遺す習慣は、記念と服喪の指輪を買うための金銭を遺す習慣へと次第に置き換わった1。遺言で、指輪を受け取るべき親族や友人を指定する人もいた2。

死の象徴から、記念碑と壺へ

1600年頃の指輪には、白エナメルの髑髏と「汝自身を知れ(NOSSE TE IPSUM)」の銘をもつものがある1。18世紀初期のモーニング・リングの多くも死の象徴を備え、1724年の銘をもつ黒エナメルの金の指輪には、全身の骸骨と、交差したつるはし・シャベルが表されている2。

18世紀後期から19世紀初期になると、記念碑の図像と、その傍らで嘆く人物が多く見られるようになる2。1792年に31歳で没したウィリアム・ヘンブロウの指輪は、黒エナメルの縁に名・没年月日・享年を金文字で残し、骨壺を載せた台座に「最良の夫に捧ぐ」と記す3。

髪

この時期の指輪・ペンダント・ブローチは、亡き人との確かなつながりとして、しばしば髪を納めた2。1809年に没した詩人アンナ・スワードの指輪は、白エナメルの地に柳を表し、髪を納めた小さなガラスのロケットを備える4。

出典

  1. V&A 所蔵品記録 M.18-1929(指輪、1600年頃) collections.vam.ac.uk ↗
  2. Sarah Hoile「Objects of love & loss: Mourning jewellery」London Museum, 2019年 londonmuseum.org.uk ↗
  3. V&A 所蔵品記録 908-1888(モーニング・リング、18世紀後期) collections.vam.ac.uk ↗
  4. V&A 所蔵品記録 M.326-1922(指輪、1809年頃) collections.vam.ac.uk ↗