ガラスへのひし形のカットはダイヤモンドカットと呼ばれます(国によって発音は変わります)。このダイヤモンドカットはもともと特に18世紀末から19世紀初頭にかけてイギリス発祥に大流行したもので、当時、世界中にブームを巻き起こしました。写真はフランスのもので、フランス語では「Diamant」(ディアマン)となります。フランスでは積極的にイギリスの技術を取り入れました。日本の切子もその影響です。日本でカットガラスを指す「ギヤマン」はダイヤモンドの意味です(オランダ語を通じて)。「ギヤマン」という名称に関して、カットをするときにダイヤモンドを使用していたからギヤマンと呼ばれていた的に言われているようですが、ヨーロッパではこのカットの形状のことをダイヤモンドと呼んでいたので、単純に道具のことではなく、ダイヤモンドカットのことだと思うんですよね。なぜヨーロッパでこのカットをダイヤモンドカットと呼んでいたかというと、そのままダイヤモンドの形状に似たカットだったからです。「え、ダイヤモンドのカット違うじゃん」と思われるかもしれませんが、アンティークジュエリーお好きな方ならお分かりの通り、ジョージアンに流行していたダイヤモンドカットは「ローズカット」と呼ばれる先端が尖ったカットです。つまりガラスのひし形のカットは「”ローズカットダイヤモンド型”カット」になるわけです。

そしてローズカットの中心地がオランダ、ベルギー(ネーデルラント)だったわけです。なのでオランダと交流のあった日本でもこのカットは「ギヤマン」と呼ばれて自然なわけです。


ついでにバカラが19世紀末に「ディアマン・ピエーリー」など、別のカット(隅切り八角形型)にダイヤモンドの名を使用していますが、それもそのはず、この時代に流行していたダイヤモンドのカットはオールドヨーロピアンカット(現在のブリリアントカットに近い)ですから。

©2023/7/3 Tatsushi Nakayabu