Scottish jewellery
山の石と、女王の愛着。
ケアンゴーム
ケアンゴームは、煙るような褐色の宝石質クォーツである。スコットランド産クォーツの色は、黒に近いモリオンから褐色、シトリンの黄色、無色のロッククリスタル、灰色、紫のアメジストまで幅がある。最も大きく良質なものは、多くケアンゴーム山地から得られた1。
ケアンゴームは印章、ボタン、ブローチに用いられ、ハイランドの装いの武具や装身具を飾った。この名称は遅くとも1780年には新聞広告や地主の書簡に現れる1。
色については人為的な処理も行われる。淡い石に放射線を当てれば褐色が深まり、紫のアメジストを加熱すれば黄色に変わる。石の輸入と加熱処理も多く行われた1。
ヴィクトリア女王とバルモラル
女王はバルモラルを「この愛しい楽園」と呼び、領地で拾われたごく普通の小石も、ジュエリーに仕立てられると聖遺物に近い扱いを受けた2。
1841年7月31日、女王は「アルバート公が拾った小石を二重のハート形に切り、金に嵌めた」品を受け取っている。1848年9月に公がロッホナガーで拾ったケアンゴームを嵌めた環状ブローチは、遺言で王室に遺すと指定された2。
狩猟の記念品として、金で留めた鹿の歯のジュエリーも数多く作られ、仕留めた日付と場所が刻まれた2。
エディンバラの作例
V&A所蔵の1880年頃のブローチは、金にブラッドストーン、レッド・ジャスパー、アゲートを嵌めたもので、エディンバラの宝飾商 G. & M. クライトン作と推定される。同店は1872年のロンドンの博覧会に出品している3。
出典
- National Museums Scotland「Geology to Jewellery: The history and science of Cairngorm quartz」 nms.ac.uk ↗
- Charlotte Gere「Love and art: Queen Victoria’s personal jewellery」Royal Collection Trust, 2012年(オンライン公開)
- V&A 所蔵品記録 M.55-1980(ブローチ、エディンバラ、1880年頃) collections.vam.ac.uk ↗
