Portrait miniature

持ち運べる肖像。

ロケット、17世紀半ば。金にペインテッド・エナメル
ロケット、17世紀半ば。金にペインテッド・エナメル
メトロポリタン美術館蔵(17.190.1005)、パブリックドメイン。所蔵品ページ

起源と名称

肖像ミニアチュールは、手書き本に彩飾を施す中世の技芸「リムニング(limning)」から発展した。「ミニアチュール」の語は、リムニングを指すイタリア語 miniatura に由来する1。

素材と技法

16世紀には、主としてヴェラム(上質の獣皮)に水彩で描かれた。1630年代以降はエナメルでも描かれるようになる。粉末のガラスと金属酸化物を油で練って薄いペーストとし、金属または磁器の支持体に一色ずつ描いていく1。

署名のある最古のエナメル肖像はフランスのアンリ・トゥタンによるもので、弟子のジャン・プティトがこの技法をフランスとイングランドの宮廷に広めた1。

ジュエリーとして

ミニアチュールは小さく持ち運びができ、ブレスレットの一部として身に着けたり、リボンで衣服に結んだりすることができた。妻が夫の肖像をブレスレットやネックレスの一部として着ける例も多い1。

ヴィクトリア女王もアルバート公のミニアチュールをジュエリーに仕立てて大切にした。ブレスレットに嵌めたものは、ウィリアム・ロスによる横顔像のエナメル版である2。

出典

  1. V&A「Portrait miniatures painted in enamel」 vam.ac.uk ↗
  2. Charlotte Gere「Love and art: Queen Victoria’s personal jewellery」Royal Collection Trust, 2012年(オンライン公開)