Enamel
金属の上で溶けるガラス。

メトロポリタン美術館蔵(17.190.964)、パブリックドメイン。所蔵品ページ
エナメルとは
エナメルは、細かく砕いたガラスを金属に熔着させて作る1。窯の熱で色ガラスを金属の素地に熔かし付けることで、光沢のある鮮やかな色面が得られる2。
シャンルヴェ champlevé
語義は「持ち上げた地」。銅板に床を彫りくぼめ、そこに粉末のエナメルを入れることに由来する。中世のエナメル師が用いた技法のうち最も一般的なものの一つである3。
ギヨシェ guilloché
機械彫りと半透明のエナメルを組み合わせる装飾技法で、装飾旋盤という専用の機械がなければ成立しない。1750年代頃から、銀細工師がローズ・エンジン旋盤で波・さざ波・放射光などの文様を金属面に刻むようになった。彫った溝の上に色ガラスの粉を重ね、熱で熔着させ、磨き上げる4。
この技法は20世紀の入口、ファベルジェ商会で頂点に達した。同商会は145の色調を完成させている4。
描くエナメル(ペインテッド・エナメル)
不透明エナメルによる絵付けは17世紀の新技法で、フランス・シャトーダンのジャン・トゥタンが開発したと伝えられる5。肖像ミニアチュールにも1630年代から用いられた6。
プリカジュール plique-à-jour
裏板をもたないエナメル。アール・ヌーヴォーの宝飾家フィリップ・ヴォルフェルスは、うねる面にこれを施した髪飾り(1905–1907年)を残しており、V&Aはその技術的達成を特筆している5。
クロワゾネ cloisonné
ルネ・ラリックの1901年頃のペンダントでは、向かい合う二羽の孔雀が、淡い青と緑のクロワゾネ・エナメルで表されている7。
アーツ・アンド・クラフツの再興
エナメルは何世紀にもわたり行われ、とりわけフランスのリモージュが名高い。英国では1880年から1920年にかけて関心が再び高まった2。中心となったのはアレクサンダー・フィッシャー(1864–1936)で、門下にアーネスティン・ミルズ(1871–1959)がいる。バーミンガム美術学校は1893年からエナメルの課程を設けた2。
出典
- V&A「Enamels」コレクション解説 vam.ac.uk ↗
- V&A「Arts and Crafts enamels」 vam.ac.uk ↗
- V&A「How was it made? Champlevé enamelling」 vam.ac.uk ↗
- V&A「How was it made? Guilloché enamelling」 vam.ac.uk ↗
- Victoria and Albert Museum「A history of jewellery」 vam.ac.uk ↗
- V&A「Portrait miniatures painted in enamel」 vam.ac.uk ↗
- The Metropolitan Museum of Art 所蔵品記録 1991.164(ルネ・ラリック、ペンダント、1901年頃) metmuseum.org ↗
